インフルエンザ
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インフルエンザ Q&A
今年もインフルエンザの流行シーズンがやってきました。昨年あたりから、「鳥インフルエンザ」「タミフル」などの報道のせいで意識が高まっているからでしょうか、予防接種を受ける人が増えている気がします。今年の予防接種はお済みでしょうか?
インフルエンザの予防・治療のためにQ&A集を作成しました。予防・治療に役立てていただければ幸いです。
直径1万分の1oほどの、"インフルエンザウィルス"というオルソミクソウィルス科のRNAウィルスです。
高熱と咳をともなう致死的な病気が周期的に流行を繰り返すことが、紀元前の記録にも残っており、中世の人がこれを星や気候の"影響"(influence=influenza)と考えたのが名前の由来のようです。
抗原性(注1)の違いから、A・B・Cの3型分類され、人に感染しやすいのはA型・B型です。とくにA型は多くの亜型(微妙に違う仲間、H1A1とかH3A2とか)が多数存在し、ヒトだけでなくブタやトリにも感染する人畜共通感染症(Q9参照)である上、短期間に変異を繰り返します。人体はその都度 新規の病原体として認識するため終生免疫を作れず、また共通のワクチンを作ることも難しく、医療の発達した現代でも毎年流行を繰り返しています。
感染してから発症するまでの潜伏期間は1〜5日。健康状態に問題なければ大抵の場合1〜2週間で自然治癒しますが、高齢者や小児ではしばしば重症化することがあります。感染者は、発症してから3〜7日間ほどウィルスを排出していると言われますが、どこまで感染力があると判断するかは難しいところです。
【感染を広げないために】
【使用薬剤の制限】
ヒトや動物が、体内でその病原体を認識するときの目印となるものです。生物はこの【抗原】に対して【抗体】を作り、【抗体】がくっ付いた相手を"外敵"と認識して免疫機構による攻撃を行います。特定の病原体に対して【抗体】が作ってあると、感染を防ぎやすくなります(=免疫を獲得する)。つまり、生体は『敵を覚えておいて素早く対処することが出来る』のです。これを利用した予防法が"ワクチン"です。
ところが、上述のように、A型B型とくにA型インフルエンザは多彩な【抗原】を小刻みにを変化させるので、終生免疫を獲得したり、確実なワクチンを作ることが難しいのです。
ヘモフィルス・インフルエンザ菌という"細菌"がいますが、これは以前、インフルエンザの原因と間違われて付けられた名前で、ここで言うインフルエンザとは全く関係ないものです。
"風邪"を「主にウィルスの感染によって引き起こされる急性炎症」と定義するなら、"インフルエンザ"も風邪の一種です。しかし、インフルエンザは他のウィルス感染症に比べて重症化しやすく、感染力が強いために大流行を引き起こすことがあるので別格扱いとなっており、五類感染症として法律で定められています。
とくに高齢者ではインフルエンザからの肺炎死がみられ、また小児においても年間100〜200人が脳炎・脳症で命を落としており、やはり普通の"風邪"とは一線を画すべきでしょう。
具体的な違いとして、『高熱』『倦怠感・筋肉痛などの全身症状が強い』などが挙げられています。しかし、とくに高齢者などでは高熱がみられないなど典型的な症状が出ないこともあり、流行地域で疑わしい症状 が見られた場合は、医療機関での検査をお勧めします。あなた自身のためだけでなく、周囲への感染を最小限に抑えるためにも。
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厳密には、インフルエンザの感染様式は『飛沫感染』とされています。
『空気感染』とは、咳などで飛び散った分泌物の水分が蒸発し、0.5ミクロン以下の微粒子となって空気中を漂い、その中に含まれた病原体が次の感染を引き起こす感染様式を指します。それに対して『飛沫感染』は、似たような形式で感染しますが、粒子の大きさが0.5ミクロン以上のものを指します。この場合、粒子は1メートル以内に落下し、病原体は比較的短時間で死滅すると考えられています。つまり、『飛沫感染』は感染患者に近づかないことや手洗い・うがい等である程度防げますが、『空気感染』は感染力が圧倒的に強く、感染を防ぐことが非常に難しいのです。
『空気感染』は、病原体が乾燥に強い場合に、周囲の水分が少なくなっ ても生き残り、さらにその状態で長時間生存し、空気中を漂うため起こります。日本で『空気感染』する病気は「結核」「麻疹(はしか)」「水痘(水ぼうそう)」があります。
しかし。例えば一時流行したノロウィルスのように、大流行し、もともと感染力が強く、ウィルス量があまりにも多いと、条件次第では、本来しないはずの『空気感染』をする可能性があると考えられています。つまり、定義上は『飛沫感染』ですが、密室などでは『空気感染』する可能性を考えて対処した方がよいでしょう。
ダスティン・ホフマン主演の映画「アウトブレイク」。致死性のウィルスが突然変異を繰り返し、『飛沫感染』から『空気感染』する能力を得て、感染が爆発的に広がる(=outbreak)お話です。『空気感染』の恐ろしさが描かれています。これを観ると、インフルエンザを安易に『空気感染する病気』と表現している人がいることに抵抗を感じます。
『空気感染』のことを『飛沫核感染』とも言います。上述の通り、『飛沫感染』とは似て非なるものですが、専門書でも間違って記載されていることがあり、注意が必要です。
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ワクチンを接種することによるインフルエンザの予防効果は、ワクチン株(注2)と実際の流行株が一致している場合には高く、不一致の場合は低くなります。そのため、年度によっても差が大きく、また、年齢・環境による影響もあるので一概には言えず、予防効果は30〜90%と開きが大きくなっています。しかし、予防効果があるのは明らかですし、もし感染を防げなかった場合でも、重症化を抑制する効果があることが分かっています。
効果が現れる=抗体が作られるのには2〜4週間かかり、2〜3ヶ月効果が続き、5ヶ月で半減するとされています。ただし、これまでのインフルエンザ感染やワクチン接種の有無で、効果や期間が増減すると考えられています。
その年にどのタイプのインフルエンザが流行するか予想し、専門家会議の選定を経て、厚生省が決定します。今年度(H20)のワクチン株は
A型株:A/ブリスベン/59/2007(H1N1)株
:A/ウルグアイ/716/2007(H3N2)株
B型株:B/フロリダ/4/2006株
となっています。
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成人は過去に複数回インフルエンザに接したことがあるため、1回のワクチン接種でインフルエンザに対する抗体が作られると考えられています。それに対し、子供の場合は、今までに感染やワクチン接種をした機会が少なく、1回接種では抗体が作られない可能性が高くなります。そのため、「13歳未満の年少児には1〜4週間の間隔をおいて2回接種すること」が『薬事法』によって指示されています。
13歳以上の場合でも、理論上は2回接種の方が抗体が出来やすいと考えられますが、実際の有効性については諸説あり、その判断は被接種者と医師の判断に任されています。数年内に感染や接種の経験がなく、今期感染の可能性が高い場合、あるいは感染の際の危険性が高い場合、は医師と相談の上、2回接種を検討し� ��もよいと思われます。
なお、2回接種の場合の間隔は「1〜4週間」となっていますが、「免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましい」とされています。
「抗体が出来るのに2〜4週間。効果は2〜3ヶ月持続し、約5ヶ月で半減。」
「例年の流行は1月・2月。まれに12月下旬・3月上旬にも流行。」
などから考えると、『11月中〜下旬』頃が最も妥当と思われます。もちろん、2回接種する場合には、1回目をその1〜4週間前に接種する必要があります。
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高熱・強い全身症状・流行状況などから総合的にインフルエンザ感染を診断できます。医療機関では、10〜20分で判断できる迅速診断キット(注3)を備えていることが多いので、これで診断するのが簡単明瞭です。典型的な症状が出ない感染もありますので、流行地域で疑わしい場合にはこの検査を受けることをお勧めします。本人のため、また、感染を広げないためにも。
健康状態に問題なければ多くの場合は自然治癒が可能です。しかし、重症化や近親者に感染する可能性を考慮すると、医療機関で治療を受けることをお勧めします。風邪のときと同様、「保温」「安静」「水分補給」を心がけつつ、対症療法を行うことが基本です。
インフルエンザの特異的な治療法として、抗インフルエンザ薬があります。この薬剤を発症から48時間以内に服用することで、感染期間を短縮できることが確認されています。医師の診断のもと、必要と判断された場合に処方されます。
インフルエンザの感染様式は『飛沫感染』(Q3参照)で、発症から3〜7日間ほどウィルスを排出していると考えられます。基本的には、マスクや手洗いで感染を抑制することが出来ますが、密室などでは空気感染に似た感染を起こす可能性があるので、部屋の換気や加湿も必要でしょう。症状が収まってから、どれくらい他人との接触を避けるべきか、明確な指標はありませんが、『学校保健法』では「解熱してから2日間経過するまで」を出席停止期間として定めています。職場復帰については、特に規制はありませんが、「症状の経過」「職種(飲食店・保育士・介護職員などはより注意が必要)」「家庭環境」「年齢」などから総合的に判断することになります。平均的には、やはり解熱後24〜48時間� ��度は自宅療養が望ましいと思われます。
インフルエンザの感染機会は、通勤・通学が大きな部分を占めると考えられます。無理をして出勤することが、かえって勤め先や社会・家庭に悪影響を及ぼす可能性がありますので、個人的満足感(熱を出しても頑張ってる俺・・・見て見て)を優先せず、疑わしい場合は早急に医療機関で診断・治療を受けて下さい。病気を押して働くことは、会社に経済的損害を与えていることが、社会統計学的に証明されています。
どのようにFDAは、ブドウを安全に保つん。
インフルエンザ感染患児に、「サリチル酸系解熱鎮痛剤」や「ジクロフェナクナトリウムを含む解熱鎮痛剤」を使用した場合、わずかながら"ライ症候群"や"脳炎・脳症の重症化"を起こす可能性があり、15歳未満の患者への投与は禁止されています。
これらの成分が含まれた市販薬もあるため、インフルエンザが疑われる場合、とくに年少児は医療機関での確認が望まれます。また、同様の理由から、以前病院で処方された薬の再使用や使い回しは慎むべきです。
インフルエンザの迅速診断キットは10数種類あり、鼻水や喉粘膜をぬぐって採取した分泌物を採取して、10〜30分で診断できます。ただし、この検査法も100%確実なものではなく、特に感染初期のウィルス量が少ないときには感染していても検査で確認できないこともあります。そのため、最終判断は総合的に行われ、検査陰性でもインフルエンザと診断して治療をすることもあります。とは言え、日本において早期確定診断・治療開始に大きく役立っており、疑わしい場合にはこの検査を受けることをお勧めします。
代表的なインフルエンザ治療薬として、インフルエンザウィルスの増殖を抑える「タミフル」があります。
この「タミフル」を服用した年少児が異常行動を起こし、事故につながったケースがいくつか報告され、この薬剤との因果関係が問題となりました。日本の厚生労働省、日本小児科学界、アメリカの米国食品医薬品局(FDA)が調査に乗り出しましたが、この"異常行動"はもともとインフルエンザ患児に一定の確率で見られるもので、「タミフル」服用によってその確率が増えたわけではない、という結論を出しています。もちろん、これからも引き続き検証が必要です。
しかし、それよりも。「タミフル」を服用するしないに関わらず、インフルエンザ患児は異常行動を起こす可能性がある ということは肝に銘じておく必要があります。とくに、解熱時や回復期に、急に暴れたり、走り出したりすることがあるようですので、この時期は目を離さないようにして下さい。このような異常行動がみられた場合は、すみやかに専門医に相談して下さい。
A型インフルエンザは、ヒト・ブタ・鳥などに感染する人畜共通感染症ですが、それぞれは違うインフルエンザウィルスであり、基本的には、【鳥⇒ヒト】【ヒト⇒鳥】などの異種感染は滅多にしません(注4)。同じA型インフルエンザでも、主にヒトに感染するヒト・インフルエンザと、鳥に感染する鳥インフルエンザがあるのです。
(Q3)でも紹介したように、A型インフルエンザは多くの亜型があり、H1〜5とN1〜9の組み合わせで分類されています(H:赤血球凝集素の違いによる分類、N:ノイロミニダーゼ蛋白の違いによる分類)。ヒト感染インフルエンザはH1、H3が知られており、鳥感染インフルエンザはH5、H7、H9が知られています。鳥インフルエンザの中でも、感染 鳥の致死率が高いものを『高病原性鳥インフルエンザ』と称し、最近では"H5N1"型の発生が話題になりました。
さて。
前述の通り、基本的には鳥インフルエンザは【鳥⇒ヒト】感染はせず、ごく稀にヒトに感染しても【鳥⇒ヒト⇒ヒト】感染はさらに稀です。しかし、短期間に変異を繰り返すウィルスであるため、将来的に、【鳥⇒ヒト】感染、さらには、【鳥⇒ヒト⇒ヒト】感染する能力を獲得する可能性があります。あるいは、"ヒトに感染した鳥インフルエンザウィルス"が人間の体内でヒト・インフルエンザウィルスと結合し、新たなインフルエンザウィルスを作りあげてしまう可能性があります(⇒新型ウィルスの出現)。そのようなウィルスが出現した場合、『パンデミック』(pandemic:世界的流行)を 引き起こす危険性があるのです。
『ヒトに容易に感染するようになった鳥インフルエンザ』あるいは『ヒト・ウィルスと鳥ウィルスの混合によって出来上がった全く新しいインフルエンザ』は、人間にとって全く未知のウィルスであるため、誰ひとり免疫を持っておらず、あっという間に感染が広がる恐れがあるのです。1890年の"アジアかぜ"、1918年の"スペインかぜ"が、この『A型インフルエンザによるパンデミック』と考えられ、"スペインかぜ"では全世界で6億人が感染し、2000〜5000万人の死者を出したと推測されています。
『新型インフルエンザの出現』は周期的に発生するという説もあります。また、現代は医療技術が高度化している反面、交通機関が発達しているために、これまでになかった速度で爆発的に� �界流行を起こす可能性もあります。国際的な警戒が必要ですし、個人レベルでも最低限の知識と危機感を備えておくべきでしょう。
『種の壁』の存在から、鳥インフルエンザウィルスはヒトには感染しないと考えられていました。しかし、それは絶対ではなく、少数ですがヒトへの感染が確認されています。また、ほんの数例ですが、【鳥⇒ヒト⇒ヒト】感染の報告もあります。そもそも、「現在のヒト・インフルエンザは鳥インフルエンザの突然変異体である」とする説もあります。
最近、【鳥⇒ヒト】感染の報告が増えており、パンデミックを危惧する意見もありますが、報告が増えているのは監視体制の強化のため、との意見もあります。
なお、「鳥において高病原性」のウィルスがヒトに感染しても、「ヒトに対しても高病原性」とは限らないようです。しかし、このことは、逆の過程が存在する可能性を示唆しています。
現在発生していない新型ウィルスに対して、確実なワクチンや治療法は存在しません。新型が発生してからワクチンが作られるまでは少なくとも6ヶ月かかります。A型B型インフルエンザに効果のあるインフルエンザ治療薬「タミフル」がその薬理効果から有効であると考えられ、日本を含め各国で備蓄が始まっていますが、まだ十分量でなく、また、確実に効くという保障もありません。
そのため、医学的対策・準備だけでは不十分であり、社会的・個人的戦略が重要となってきます。簡単に言うと、普段のかぜ対策を拡大・延長する必要があります。
つまり
@「規則正しい生活」「バランスの取れた食事」「適度な運動」「十分な睡眠」
A手洗い・うがいの励行(イソジンの使用は避けたほうが無難< span>(注5))
B「ウィルスを吸い込まない」「ウィルスを吐き出さない」マスクの着用
C感染が疑わしい時は速やかに医療機関を受診
D感染が疑わしい時は無理をせずに自宅安静(感染拡大の一因は通勤通学)
Eワクチンの接種(新型を予防はできないが混同や混合の危険を減らすため)
F大流行のときに備え、少なくとも一週間分の食料その他・生活必需品の備蓄を
日本では昔から「風邪にはうがい!!!」と言われてきましたが、実は、うがいの効果はよく分かっていませんでした。しかし、とうとう2005年10月に京都大学保健管理センタの川村孝教授がボランティア380人を集め、「うがい無し」「水でうがい」「イソジンでうがい」で風邪の引きやすさを比較しました。結果は、「水でうがい」は「うがい無し」に比べ4割ほど風邪の発症を抑えることが出来たのに対し、「イソジンでうがい」は予防効果が無かった、とのことです。
これはおそらく、イソジンでうがいすると、常在菌が殺菌されて外来菌が侵入しやすくなったり、粘膜傷害を引き起こして炎症や感染を誘発し、うがいの効果を帳消しにしてしまうからだと私は推測しています。
検索してみても、イソジンのうがいによ る口腔内真菌感染症や口内炎などの有害事例は出てきても、予防・治療に結びついた事例は見当たりませんでした。
よって、「水でうがい」は推奨されますが、「イソジンでのうがい」はしない方が無難なようです。未だに、「ハイ、イソジンでうがいしてね!!」と処方される先生も大勢いらっしゃいますが・・・
H19.3.21
タミフル関与の可能性のある異常行動がさらに2件報告され、厚生労働省より、「10歳以上の未成年者においては、原則としてタミフルの処方は差し控えること」との警告が出されました。
10代という年齢制限は極めて異例ですが、ハイリスク患者など特別な事情のない限り、タミフルの服用は出来ないことになります。代替処方としてはリレンザが処方されることになると思われます。
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